
和楽器の箏(こと)は糸の下に琴柱(ことじ)という柱を立てる。その琴柱の材質はプラスチックよい象牙の方が良い音を響かせてくれる。ワシントン条約以降は象牙が値上がりして、一セットで数十万円するようになってしまった。
楽器を購入する際にちょっと上乗せして象牙の柱を買うことができた時代のものを2セット持っていたので、新たに箏を購入する友人に使ってもらうことにした。『見えない世界』で所有者であった私との縁を切り、『見えない世界』で全てをきれいにし、友人との相性を良くして手放した。
箏本体の寿命はその人一代くらいで尽きてしまうけれど、象牙の柱は保管状態が良ければ何人もの手に渡ってその役目を果たせる。自分のところで長く保管せず、喜んで使ってくれる人の所で本領発揮してもらうのがその象牙の命に対する敬意だと思う。
何であっても、その役目を眠らせてしまってはいけないと思っている。ものを断捨離する際には、誰かにもらっていただくのがよいのか? 廃棄してよいのか? いつも『みえない自然』に問うている。
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